かつて


2024.4.18
靁羽
むかし むかし
歌った誰かの恋の歌が
とおく とおく
揺蕩い続けて届いて
ゆれる ゆれる
俯いた背中をぐずらせた

あなたはまだ
何も知らないのでしょう
ずっと木漏れ日の中を
歩くあなたには

かつて あなただった
白く儚いかけら達が
今でも私を掴んでやまない
どうか 忘れてゆける
美しいモノで在るよう

むかし むかし
思い出の片隅に匂った
とても とても
懐かしい髪の色のよう
ふれて ふれて
泡のように散る光に

またこぼれてく
海の一雫になる
もう二度と触れない
私だけの光

かつて あなただった
白く儚いかたちさえも
いつか朧げに崩れるけれど
どうか 忘れるために
美しいモノで在るよう

黒く、深く。沈んでゆくの。
白く、高く。登ってゆくの。

誰もがみな、
飽きるほど繰り返す。
戻る道も失いながら。

かつて あなただった
白く儚いかけら達が
今でも私を掴んでやまない
どうか 忘れてゆける
美しいモノで在るよう

かつて あなただった
白く儚いかたちさえも
いつか朧げに崩れるけれど
どうか 忘れるために
美しいモノで在るよう

砂を数えて、時を忘れるの。
譬え目の前が闇に包まれようとも。

かつて あなただった
黒く澱んだ願い達が
それでもこの目を塞いでやまない
いつか 忘れてくほど
穢れたモノで在りたい

「兄だったモノ」のイメージで作った歌詞です。この漫画自体はあまり著名ではないかもしれません。GAMMA!で配信されているWEB漫画で、軽くホラーもの。兄の死をきっかけにその恋人に取り憑く悍ましい「何か」を探る妹の話です。この漫画、結構人間模様がドロっとして面白いので是非読んでみてください。

基本的に文学の一節が取り上げられていることが多く、歌詞も文学体にして作品との調和を採っています。比喩が割と多いので誰が誰のことを歌っているのかははっきりとわからない様にしています。メロディー的には童謡「赤とんぼ」のような少し懐かしさを感じるものとなっています。

美談的な内容が続きますが、4サビは反転します。これ以前の歌詞は最後の1ブロックのためにあるようなものです。

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